ロシア、モスクワに勉強の場を移して五年の歳月を振り返ってみると、
その変化に驚く。
来た当初、地下鉄はたしか7ルーブルだった料金が、毎年値上がり、
今では17ルーブルにまでなった。急激に携帯電話が普及し、
学生で持ってない人の方が珍しいし、町行く車の半分以上は外国車が走っている。
今も住んでいる寮の中でも、パソコンを持つロシア人学生も、驚くほど多い。
その急激に変化している環境に周りの人間がついていってるかというと、
頭でっかちのように、一人歩きしているような感じがする。
あまりに広大な国、ロシア。その首都モスクワは周りの町を置いて、
どんどんと発達している。
しかし、色の少ない長い冬を過ごす彼らには、やはり
芸術を求める心が根付いている。
絵画、バレエ、オペラ、何を取っても、
色彩豊かな色々が目に飛び込んでくるあの感動は、きっとこの厳しい
雪世界の中で置かれて、色に飢えているからだと思う。
毎年、長く厳しい冬は必ずやってくるが、その一面の銀世界、
環境の中偉大な音楽、素晴らしい演奏家達が生まれてきた事、
ロシア芸術の力強さに常に強烈な刺激と感動を受ける。
この長く厳しい冬を終え、町に見え始める緑の美しさに、心から
「美しい」と感じる。
美しいものを「美しい」と心から思える、当たり前のこの感情も、
もしかしたら今の世の中、薄れているような気がしてならない。
さまざまなインスピレーションをくれるここロシアでの、留学生活も
残す所あと1年ほどになった。
毎週毎週、実技、伴奏法、室内楽と忙しく迫ってくるこのサイクルに
四苦八苦しつつも、ロシア語を喋り、聞き、初めて見えてくる
ロシア音楽の魅力に、いつも驚かされる。
今年は五月末には日本へ帰国し、演奏会を頂いているので、
精力的に活動していこうと思います。
自分自身に挑戦するプログラムで組んだコンサートもあるので、
今から楽しみです。
モスクワもやっと、やわらかい日の光が心地良い季節になって
きました。
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